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浅田真央 自分の演技目指した4年間
ソチオリンピックのフィギュアスケート、女子シングルでエースの浅田真央選手は、前半のショートプログラムでは16位と出遅れながら、後半のフリーでは自己ベストを更新する会心の演技をみせて6位に入りました。
長年にわたってフィギュアスケートの取材を続けているNHKの刈屋富士雄解説委員は、浅田選手の演技について「女子フィギュアスケート史に残る最高傑作のひとつ」と解説しています。

女子フィギュア史で最高傑作のひとつ
Qまず今回のフィギュアスケート女子シングル、全体を通してどう振り返りますか。

(刈屋解説委員)
全体を通してみるとフィギュア王国復活をかけたロシアの底力と執念を感じました。

Qそうしたなかで浅田選手の演技は。

(刈屋解説委員)
ショートプログラムの失敗の大きな要因がメンタル面であったと思います。その部分を整理して気持ちを集中して臨んで、浅田真央としての、フィギュアスケーターとしての完成形というか、どこまで到達しているかと言うことをしっかりと見せることができましたし、オリンピックの女子フィギュアスケート史に残る最高傑作のひとつ、といえるようなプログラムを演じきることができたと思いますね。


フリーの得点だけ見ると「3番目」なんですよ。ただ第2グループで演技しましたので、後ろのグループを意識してちょっと点数が抑えられた傾向がありますので、最終グループで浅田選手があのプログラムをやっていたら、たぶんもっと点数が出ていただろう、と思いますね。その内訳をみてみましても、本人が目指しているトリプルアクセルを含む6種類8回の、いわゆるエイトトリプルと言われている、まあ回転不足とエッジの減点はいくつか受けたんですけれども、しかし8つのトリプル、ジャンプが入る見事な、歴史的なプログラムを演じきることができたということになります。バンクーバーのときにはトリプルアクセルを3つで、ギネス世界記録にも載りましたけれども、今回も歴史的なプログラムと、2大会連続で歴史的なプログラムとなります。

Q鈴木選手が8位、村上選手は12位ですね。

鈴木選手は足をけがしていたということですが、そのなかでスピード感あふれる演技を見せまして、スケーティングのうまさと表現力の豊かさをしっかりとアピールできたと思います。「オペラ座の怪人」のクリスティーヌにしっかりとなりきったアピールができたと思います。
村上選手はたぶん、見ている人すべてが感じたと思うんですが、まだ伸びしろが相当あるなと、これはまだ相当点数が伸ばせる選手だなと世界にアピールしたと思います。今回の採点基準を細かくみれば、いくらでもまだ点が伸びていく、そういう要素を持っていることを証明したと思います。

金メダルはなくてもさん然と輝き続ける
Qそれにしてもメダルには届かなかった浅田選手ですが、フリーですべてのジャンプを入れて「自分の目指す演技ができた」と言ってましたが、バンクーバーのあと、こう言えるまでの道のりは本当に長かったでしょうね。

そうですね。メダルを取れませんでしたけれども、浅田選手の価値を下げるものでは全くなかったですね。むしろ「4年間の努力」というのが彼女のアスリートとしての価値、評価というのを決定づけているような気がしますね。
彼女はバンクーバーの時には銀メダルを取っていますし、世界チャンピオンのタイトルも持っていながら、そこからさらに最高の作品を作るために、結果として金メダルを狙うためにスケーティング技術を一から見直したんですよね。
しかもジャンプの跳び方を変えていくだけでなく、スケーティング技術そのものを一から見直していく。これはどのスケーターに聞いても相当きついことらしいですね。非常に厳しい、根気強い努力がなければ、なかなか取り組むことができない。


しかし彼女は、自分の目指す作品を作るためには自分が望む高みに到達するにはこれをやらなければいけないんだと。結果が出ない試合の屈辱にも耐えながら、それをずっと地道に積み上げて2年間、3年間たって徐々に成果を上げていったことになります。今回、その努力の成果をフリーで示したと。
ただメダルが取れる取れないというのはそのときの運もありますので、金メダルが取れるか取れないかというのは本当にそのときのいろんなことがありますけれども、金メダルをこれまで取れなくてもフィギュアスケートの歴史上にさん然と輝き続ける名スケーターたちはいっぱいいるんですよ。

例えばイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)はヨーロッパが産んだ最高のフィギュアスケーターの1人という評価は今も揺るぎないんですけれども、彼女も金メダルを絶対と言われていたソルトレークシティで取れずに、トリノでは荒川静香さんにも破れ、ただ彼女は難病を克服したりお母さんの看病のために世界選手権を諦めたりと、いろんな苦しみを乗り越えながら最後の最後まで金メダルを目指す努力を見せ続けた。

もう1人、ミシェル・クワン選手。この選手もアメリカのフィギュアスケート史上に残る名選手として輝きを持ち続けていますけれども、金メダル絶対と言われた長野でタラ・リピンスキー選手に敗れ、そのあとの地元のソルトレークシティでも金メダルに届かず、そして3回目のチャンスを狙ってトリノオリンピックに乗り込んでいったときに、けがで大会に出られずに引退になったんですよ。引退のときに彼女が言ったのが、「夢をかなえるのがスポーツならば、かなわないのもまたスポーツ。でもいちばん大事なことは夢に向かって最大限の努力をすることがスポーツなんだ。そのために自分は最大限の努力ができたから悔いなく引退することができます」と言ったんですね。
ですからスルツカヤ選手もミシェル・クワン選手も、実績はもちろんですが金メダルを取っていない、でも、金メダルに向かった最大限の努力を見せ続けたということが、やはり彼女たちがフィギュアスケーターとしての歴史でさん然と輝いている大きな理由ですね。

そう考えると浅田真央選手がこの4年間に見せた、金メダルに向かってというよりも最高の作品に向かった最大限の努力はこの2人に匹敵するものでありますし、同じように金メダルはなくても女子フィギュアスケート史上にさん然と輝き続ける、そういう選手だと思いますね。

Q胸を張って帰ってきてほしいですね。

そうですね、胸を張って帰ってきてほしいですし、せっかく、この域まで達したのですからやめるのはもったいないと感じません? キム・ヨナはあれだけ休んでちゃんとうまくできたんで、浅田選手も2年間くらい休んで、アイスショーでちょっと滑りを確認しながら過ごして、ピョンチャンで、キム・ヨナの目の前で金メダルを取ってほしいと思います。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140221/k10015425271000.html
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